エアコン職人の日々

エアコン空調工事で大切と思った事をアップしていくよ。エアコン工事の職人や空調屋の仕事に興味ある人は要チェック!

空調工事の裏ワザ#2

【やってはいけない裏ワザ】
内外連絡線を1芯でやる方法

これは大阪で実際に遭遇した話です。

業務用エアコンの取替工事でした。
最初に既設エアコンのポンプダウンをする為に室外機のある屋上へ行きました。
室外機の横には【エアコン用動力盤】があり【キュービクル】も同じく屋上にありました。

室外機の蓋を開けると

三相電源の端子台RSTには、普通に赤白黒と3芯で電源が接続されていました。

内外連絡線の端子台123には
【3に赤い線のみ接続されており1と2には何も接続されていませんでした】

既に使っていないエアコンと間違えてしまったのかと思いました。
しかし、テスターで電圧を測るとちゃんと生きてます。
そこで室内で養生作業している従業員へへ電話をして運転開始をしてもらいました。

動きました。

「え…なんで1と2が接続されてないのに動くの?」

めっちゃ考えました。

わかる人はここで答えが分かるのでしょうね。
でも、その当時の俺は分かりませんでした。

とりあえず室内機の接続を見てもらったら、123にそれぞれ接続されてるようです。

何が起きてるか分からなかったので、俺も室内へ戻り調べる事にしました。

まず室内機の1と2に接続されている電線を辿ります。それは廊下の盤の中で動力の回路のR相とS相に繋がってました。

そこでやっと閃きました。

ふむふむ
考えはまとまりました。

「なるほどね、、、でもこんな工事はやんちゃ過ぎじゃねw」

まだ分からない従業員
「どういう事すか?」
と聞いてきました。

という事で答え合わせ

まずは、エアコンの電気回路の仕組みから説明します。

室外機の
Rと1
Sと2
この2つは機械側で渡っています。

そして室内機と室外機の通信は
2と3
で行われています。

分かりますか。
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図示するとこうです。

だから、ビル全体の動力のRとSの回路をエアコンの1と2と同化させてるんです。

調べるとそのフロアのエアコンのみではありませんでした。

全て室外機の1と2には何も接続されてませんでした。

大阪の空調屋さんは男前だなと思いましたが、そんな事言って笑って終われないんですよね。

【ビルだから簡単に配線を追加することができない】

しかたがないので、お客さんへ図を描いて専門的部分を含めて説明しました。

「この通り既設の工事が通常の形ではありません。
しかし、正しく施行しようと思うと本日工事を完了できず後日に改めるしかありません。」
と提案をしました。
でも返事は
「今日動かないとまずい。サーバー室として使っているのでなんとか運転させて欲しい」
と言われました。

原理としては今の機種でも同じ接続で運転は可能のはずです。

でも昨日の【やらない方がいい裏ワザ】のドレンアップの状況と違うことがあるんです。
本来の電気の流れと逆になるところにヒューズが1つあるんですが、流れる向きが逆なので室内機への【保護装置が機能していない状態】となるんです。
※図の緑の〇の部分

トラブルが起きた時に遮断しないといけない回路が遮断できない。
これにどれ程の危険性があるかは知りません。ただメーカーが保護として付けてる以上はそれが機能しない設置で俺が良いと言えるはずがありません。

ドレンアップの裏ワザは危険性がありませんが、内外連絡線1芯は危険な可能性があるんです。

でもサーバー室の空調が行われないのは確かにまずいですね。
ですから、俺はお客さんへ

「仮設置という形で、既設工事と同じ形で仕上げて使えるようにします。
そして、1週間後(当社の予定が詰まっていた為に間が開きました)に、連絡線の新規配線工事を行います。それでどうでしょう?」

と納得して頂きました。

ひとまず【内外連絡線を1芯】で仕上げる事にしました。

普通に運転しました。
原理としては分かるんですが、室外機の連絡線に配線が接続されてないのに運転するのは不思議な感じですね。

もちろん後日に連絡線を新設しました。

もう8年くらい前の話ですが、もしかしたら今でも他のフロアのエアコンはそのまま使ってるのかもしれませんね。